2009年1月13日火曜日

定期借家契約とは

久しぶりに真面目な話題を一つ。

賃貸借契約には大きく分けて

・普通型賃貸借契約
・定期借家契約

と二つあります。

「普通型賃貸借契約」というのは、一般的な契約の更新ができる契約ですね。
今回お話しする定期借家契約。
もう施行されてから10年たちます。
いろんなところで説明されていますから、何を今更!という感がなくもないです。

ただ、今回「賃貸戸建物件にも定期借家契約を!」という話が業界の中で
盛り上がってきている(一部では既に行われていますが・・・)ようなので、
ここで改めて私がこれだけは押さえておいてほしい重要な部分をまとめようかと、
かように考えております。

定期借家契約とは・・・

・「定期」というくらいですから、賃借の期間が決まっており、普通型と違って
 更新がなく、したがって、契約期間の満了と同時に契約は終了してしまう。
・更新はできないが、再契約はできる。


(借主側の注意点)
1.再契約をする際、貸主と借主が再契約に関して合意できなかった場合は、
  借主は契約終了と同時に退去しなければいけない。この場合、原則退去
  費用等は貸主から借主へは支払われない。

2.もともと再契約できない場合もある。(取り壊しなどのため)
  その場合、状況は上記1.と同様である。

3.契約期間中に解約できない。つまり、契約期間が2年であれば2年間分の
  賃料相当額は支払う義務がある。ただし、特約として中途解約の条項が
  ある場合は解約可能。その場合は、中途解約の場合の違約金の条項、
  及び解約予告期間を確認する必要がある。
  *住居の場合、契約上は明文化されていなくても、条件によっては1ヶ月前の中途解約が法的に認められる場合があります。

もとはと言えばこの契約。
普通型賃貸借契約だとあまりに借主側の権利が強く、
貸主側から契約の解除を申し入れても、よほどの理由ががない限り現実問題は
契約を終了することができませんでした。
したがって、建物が老朽化し、建て直そうとしてもテナントによっては高額な
退去費用を用意する必要がありました。

それらを解決するため、完全な期限付きの定期借家契約というものを作ったんですね。

んじゃ、そもそも現行の普通型賃貸借契約とはどうして借主側の権利が強いものに
なったんでしょうね。

これにもちゃんと理由があります。

普通型賃貸借契約の基になる借地借家法は1921年(大正10年)に
制定されました。
そのころ、度重なる戦争が続いていました。
先の太平洋戦争では日本は大量の戦死者を出してしまいました。
ほとんどは戦場に行った兵士だったわけですが、当然この方たちの中には
家族のある方もいらっしゃいました。
一家の大黒柱であったお父さんを戦争で失ってしまった家族にとっては
今と違って精神的にはもちろん、経済的に全く行き詰ってしまいました。

そんななか、「稼ぎ頭の旦那がいなくなったことだし、出てっとくれ!」などと
家主から言われ、家を失い、小さい子供を抱えて路頭に迷った人もいたでしょう。

父親を失わないまでも、戦争に出兵するため、家を空ける家族たちを
守る必要が出てきました。
そういった状況の中、今の借地借家法ができました。

立法された背景が背景なだけに借主側にかなり有利な法律になったんですね。

戦後64年。
全くとはいいませんが、だいぶずれてきてますよねこの状況とは。

定期借家契約は、借主側にとって有利なものではないのは確かなことですが、
現実を考えたら、この契約形態ができたのは致し方ないと思います。

ただ、定期借家契約で賃貸する場合には、以上にあげたようなことには最低でも
気をつけて借りる必要があります。

なるべくわかりやすく書いたつもりですが、どうでしたでしょう?

わかりづらい?
もうちょっと聞きたいことがある?





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